この記事では、米国の高配当ETF「SPYI」について、2026年10月時点の最新データで特徴・配当・新NISAでの扱い・メリットとデメリットを解説します。同じS&P500を対象にするJEPIやXYLD、高配当株ETFのSCHD・SPYDとの違いもまとめました。
この記事の結論
- SPYIはS&P500の株を持ち、S&P500指数のコールオプションを売る(一部は買う)ことで年12%前後の分配金を毎月出す高配当ETF
- 新NISA(成長投資枠・つみたて投資枠)の対象外と考えられる。毎月分配で、ヘッジ目的以外のオプションを使っているため。最終的には証券会社で確認を
- 毎月の現金収入を重視しつつ、上昇相場の値上がり益も少しは取りたい人向け。分配金は1株あたり月0.51〜0.54ドル前後
- 分配金で毎月1株ずつ買い増すには約142株、月1万円の分配金を得るには約177株が目安
SPYIとは何か?
SPYI(NEOS S&P 500 High Income ETF)は、米国の運用会社NEOSが2022年8月29日に設定したETF(上場投資信託)です。特定の指数に連動するのではなく、運用チームがオプション取引を組み立てるアクティブ運用です。純資産は約127億ドル(2026年10月28日時点)と、設定から4年ほどで大きな規模に成長しています。
SPYIが提供する投資機会とは?
SPYIは、毎月の高い分配金を求める投資家に向けたETFです。NEOSは目的を「税効率よく毎月高いインカムを得ること、そして上昇相場では値上がりの可能性も残すこと」と説明しています。
中身はS&P500の構成銘柄(約500社)をほぼそのまま持つ形なので、エヌビディアやアップル、マイクロソフトなど米国を代表する大型株に幅広く投資できます。
コールの売りとコールスプレッドをかんたんに言うと
SPYIは、S&P500指数(SPX)のコールオプションを売ってプレミアム(オプションの代金)を受け取り、これを分配金の主な原資にしています。ここまではXYLDなどのカバードコール型と同じ考え方です。
違いは、NEOSが「売るだけでなく、SPXのコールを買うこともある」と説明している点です。コールを売ると同時に、より高い行使価格のコールを買う組み合わせを「コールスプレッド」と呼びます。こうすると受け取るプレミアムは少し減りますが、指数が大きく上がった時に、上昇分の一部を取り戻せる余地が残ります。NEOSが「上昇相場では値上がりの一部を取ることを目指す」としているのはこのためです。
また、SPYIが使うSPXの指数オプションは、米国の税制では「Section 1256契約」に分類され、利益の60%を長期・40%を短期として扱う(60/40ルール)ため、税率が低くなりやすいとNEOSは説明しています。ただし、これは米国の投資家にとっての話です。日本の投資家がこの税制上の恩恵をそのまま受けられるとは限らないので、ここは「米国ではそういう特徴がある」くらいに考えておくのがよいと思います。
新NISAには使えるのか?
残念なことに、SPYIは新NISAの成長投資枠でも、つみたて投資枠でも投資できないと考えられます。
新NISAの成長投資枠には金融庁が定めた商品の基準があり、次のような商品は対象から外されています。SPYIは毎月分配を行い、運用の中心にコールオプションの売り(デリバティブ取引)を使っています。これは収入を得るための取引で、ヘッジ目的とはいえないため、対象外となる条件に当てはまります。
- 毎月分配型の商品
- ヘッジ目的以外でデリバティブ取引を使う商品(カバードコール型のETFなど)
対象かどうかは各証券会社のサイトに表示されるので、購入前に、お使いの証券会社の「成長投資枠の対象銘柄」で確認してください。
日本の証券会社で買える?
SPYIは米国のCboe取引所に上場しているETFです。日本の証券会社で取り扱っているかどうかは、今回の調査では確認できませんでした。購入を考えている方は、お使いの証券会社で確認をしてください(米国ETFの取扱銘柄一覧で「SPYI」と検索すると確認できます)。
では、一般枠(特定口座)でも買いなのか?
キャピタルゲイン(値上がり益)の恩恵を最大限受けたい、つまり資産を大きく増やしたいという方には向いていないと私は思います。SPYIは上昇の一部しか取れないうえ、毎月分配金が入り、そのすべてに税金(日本で20.315%、米国での源泉徴収も)がかかってきてしまうからです。資産拡大が目的なら、分配金が少なく値上がり益で育てるタイプのETFの方がよさそうです。
一方で、「毎月の分配金は欲しいけれど、上昇相場を完全には手放したくない」という方には、検討する価値のある選択肢だと私は思います。
なお、私自身は現時点ではSPYIを保有していません。
では、その他参考になる情報をここから書いていきたいと思います。
SPYIの詳細情報(2026年10月時点)
SPYIの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 銘柄コード | SPYI |
| 運用会社 | NEOS Investment Management |
| 上場取引所 | Cboe |
| 設定日 | 2022年8月29日 |
| 運用方針 | S&P500構成銘柄+SPXのオプション取引(アクティブ運用) |
| 株価 | 53.39ドル(2026年10月28日、市場価格) |
| 52週の値幅 | 47.77〜54.47ドル |
| 純資産 | 約127.1億ドル |
| 保有銘柄数 | 511銘柄 |
| 経費率 | 0.68% |
| 分配頻度 | 毎月 |
※株価・純資産は2026年10月28日時点(NEOS公式)、52週の値幅と保有銘柄数はstockanalysis.com(2026年10月29日時点)。
SPYIの配当利回り・権利落ち日
SPYIの直近12か月の分配金は合計約6.32ドルで、株価53.39ドルで割った配当利回りは約11.8%です(2026年10月時点)。NEOSが公表している分配率(直近の分配金を12倍して基準価額で割った値)は12.21%、直近12か月の分配率は12.09%です(2026年9月30日時点)。分配金は1株あたり月0.51〜0.54ドル前後で、権利落ち日は毎月中旬〜下旬の水曜日が多くなっています。
| 権利落ち日 | 支払日 | 1株あたりの分配金 |
|---|---|---|
| 2026年10月21日 | 2026年10月23日 | 0.5087ドル |
| 2026年9月16日 | 2026年9月18日 | 0.5338ドル |
| 2026年8月19日 | 2026年8月21日 | 0.5423ドル |
| 2026年7月22日 | 2026年7月24日 | 0.5300ドル |
| 2026年6月16日 | 2026年6月18日 | 0.5310ドル |
| 2026年5月20日 | 2026年5月22日 | 0.5353ドル |
| 2026年4月22日 | 2026年4月24日 | 0.5247ドル |
| 2026年3月18日 | 2026年3月20日 | 0.5104ドル |
| 2026年2月18日 | 2026年2月20日 | 0.5219ドル |
| 2026年1月21日 | 2026年1月23日 | 0.5309ドル |
| 2025年12月24日 | 2025年12月26日 | 0.5316ドル |
| 2025年11月26日 | 2025年11月28日 | 0.5216ドル |
※NEOS公式。米国株は権利落ち日の前営業日までに保有している必要があります。
なお、NEOSは、SPYIの分配金は「元本の払い戻し(リターン・オブ・キャピタル)」に分類されていると説明しています。分配金はオプションのプレミアムや配当などから成り立っていますが、利回りが高く見えても、すべてが利益から出ているわけではない点は覚えておきましょう。月ごとの内訳の推計は、NEOSのサイトの「19a-1通知」で公表されています。
SPYIの経費率
SPYIの経費率は0.68%です。XYLD(0.60%)やJEPI(0.35%)より高く、SCHD(0.06%)のような高配当株ETFと比べると10倍以上です。長く持つほど差が効いてくる点は意識しておきたいところです。
投資対象とポートフォリオ
SPYIが投資する主な銘柄
SPYIはS&P500の構成銘柄をほぼそのまま保有しているため、中身はS&P500とよく似ています。上位10銘柄の合計は約37%で、ナスダック100型のETFより分散が効いています。
| 順位 | 銘柄 | 比率 |
|---|---|---|
| 1 | エヌビディア(NVDA) | 7.79% |
| 2 | アップル(AAPL) | 7.64% |
| 3 | マイクロソフト(MSFT) | 5.90% |
| 4 | アマゾン・ドット・コム(AMZN) | 3.59% |
| 5 | アルファベット クラスA(GOOGL) | 2.48% |
| 6 | ブロードコム(AVGO) | 2.46% |
| 7 | メタ・プラットフォームズ(META) | 2.04% |
| 8 | アルファベット クラスC(GOOG) | 2.01% |
| 9 | テスラ(TSLA) | 1.71% |
| 10 | イーライリリー(LLY) | 1.65% |
※NEOS公式サイトの公表値(2026年10月30日時点の表示)。上位10銘柄の合計は約37%です。
オプション取引の活用
SPYIは上記の株式に加えて、SPXのコールオプションを売り(一部は買い)、そのプレミアム収入を分配金の主な原資にしています。株の配当による収入は少なく、NEOSが公表している30日SEC利回り(経費を差し引いた配当・利息収入の目安)は0.45%(2026年9月30日時点)です。分配金のほとんどはオプション収入に頼っているということです。
SPYIのメリット3選
- 毎月、とても高い分配金がもらえる:直近12か月の利回りは約11.8%。S&P500のオプション収入を原資に、一般的な高配当ETFを大きく上回る分配金を毎月出しています。
- 上昇相場の値上がり益も一部は取れる:コールを買う取引を組み合わせることで、上昇分の一部を残す設計です。NEOS公式の基準価額ベースのリターン(分配金込み、年率)は直近1年で14.62%、3年で17.68%でした。代表的なカバードコール指数であるCboe S&P500バイライト指数(1年18.20%、3年14.78%)と比べると、1年では下回ったものの、3年では上回っています(2026年9月30日時点)。
- S&P500に幅広く分散できる:約500銘柄のS&P500をほぼ丸ごと保有するため、ナスダック100型より業種の分散が効いています。純資産も約127億ドルと大きく、売買しやすいETFです。
SPYIのデメリット3選
- S&P500そのものには上昇で負けやすい:上昇の一部は取れるとはいえ、コールを売っている以上、大きな上昇はすべては取れません。NEOS公式によると、3年の年率リターンはSPYIの17.68%に対してS&P500指数は22.89%でした(2026年9月30日時点)。下落時は株価がしっかり下がる点も理解しておきましょう。
- 経費率が高め:経費率は0.68%で、JEPI(0.35%)のほぼ2倍です。アクティブ運用でオプションを組み立てるコストがかかっています。
- 税金面で不利・為替リスク:新NISAが使えないと考えられ、分配のたびに税金がかかります。米国の60/40ルールの恩恵も、日本の投資家がそのまま受けられるとは限りません。米ドル建てのため、円高が進むと円に換算した分配金や資産額が減る可能性もあります。
SPYIと似たETFとの違い
同じS&P500系のETFでも、オプションを使うかどうか、どう使うかで分配金と値上がり益のバランスが大きく変わります。当ブログで解説している主なETFと比べると、次のとおりです。
※配当利回りは直近12か月の分配金ベース。SPYIは2026年10月28日の株価で計算、XYLD・JEPIは2026年10月30日時点、SPYDは2026年10月29日時点、SCHDは2026年10月23日時点(stockanalysis.com)。新NISAの扱いは証券会社によって異なる場合があります。
2026年10月時点では、SPYIの利回りはXYLDを少し上回り、JEPIより高い水準です。「利回りと上昇余地の両方」を重視するならSPYI、「コストの低さと値動きの安定」を重視するならJEPI、「新NISAで非課税で受け取りたい」ならSPYDなどの高配当株ETFが候補になると私は考えています。
SPYIはどんな人に向いている?
向いている人
- 毎月の現金収入(インカム)を重視しつつ、上昇相場の値上がり益も少しは欲しい人
- ナスダック100型より、S&P500で幅広く分散したい人
- NISA枠は別の商品で使っていて、特定口座で高配当を狙いたい人
向いていない人
- 20〜30年かけて資産を最大限増やしたい人(その場合はS&P500やVTIのようなインデックスETFの方が合うかもしれません)
- 新NISAの非課税メリットを最大限に活かしたい人
- 経費率をできるだけ低くおさえたい人
まとめ
SPYIを分配金で毎月1株買うには何株必要?
SPYIの株価は約53.39ドル、毎月の分配金は平均で約0.527ドルです(直近12か月合計6.32ドル÷12)。米国10%・国内20.315%の税金がかかると仮定すると、1株あたりの手取りは月に約0.378ドルになります。
53.39ドル ÷ 0.378ドル = 約141.3株。つまり、約142株あれば毎月の分配金で1株ずつ買い増せる計算です(外国税額控除や、元本の払い戻し部分の税金の扱いは考慮していません)。
月1万円の分配金を得るには何株必要?
1ドル=150円で計算すると、月1万円は約66.7ドルです。手取り0.378ドル/株で割ると約177株、金額にして約9,400ドル(約141万円)が目安になります。為替や分配金の変動で必要な株数は変わるので、あくまで目安として考えてください。
最後に
米国のETF「SPYI」の特徴や投資のメリット・デメリット、新NISAでの扱い、似たETFとの違いなどを2026年10月時点の最新データで解説しました。
このETFは、S&P500のオプション収入で毎月高い分配金を出しながら、上昇相場の値上がり益も一部残そうとするETFです。経費率は高めですが、インカム志向の投資家にとっては魅力的な選択肢の一つといえそうです。
何よりも働かずに毎月お金が入ってくる仕組みを、S&P500の成長も少し取りながら作りたい人にとっては、良い選択肢の一つになるのではないかと思います。
※本記事のデータは2026年10月28〜30日時点のものです(出典:NEOS公式サイト・ファクトシート、stockanalysis.comほか)。新NISAでの取り扱いは各証券会社でご確認ください。投資の判断はご自身の責任で行ってください。
