この記事では、米国の高配当ETF「QRMI」について、2026年10月時点の最新データで特徴・配当・新NISAでの扱い・メリットとデメリットを解説します。同じGlobal XのQYLDや、ナスダック100のオプション収入を使うJEPQ、値上がり益を狙うQQQとの違いもまとめました。
この記事の結論
- QRMIはナスダック100の株を持ち、コールオプションを売りつつプットオプションを買う「カラー戦略」で、年12%前後の分配金を毎月出しながら大きな下落に備えるETF
- 新NISA(成長投資枠・つみたて投資枠)の対象外と考えられる。毎月分配で、ヘッジ目的以外のオプション(コールの売り)を使っているため。最終的には証券会社で確認を
- 値上がり益はほぼあきらめ、毎月の分配金と値動きの小ささを重視したい人向け。分配金は1株あたり月0.15〜0.16ドル前後
- 分配金で毎月1株ずつ買い増すには約135株、月1万円の分配金を得るには約597株が目安
QRMIとは何か?
QRMI(Global X NASDAQ 100 Risk Managed Income ETF)は、Global Xが2021年8月25日に設定したETF(上場投資信託)です。「Nasdaq-100 Monthly Net Credit Collar 95-100指数」という指数に連動するように運用されています。純資産は約1,498万ドル(2026年10月29日時点)で、同じGlobal XのQYLD(約84億ドル)と比べるとかなり小さなETFです。
QRMIが提供する投資機会とは?
QRMIは、カバードコール型のETFに近い毎月の分配金を受け取りながら、相場が大きく下がった時の損失をある程度おさえたいという投資家に向けたETFです。Global Xは、カバードコール型と同じような収入を目指しつつ、大きな下落局面での損失を限定することを目的としていると説明しています。
中身はナスダック100の構成銘柄(約100社)なので、エヌビディアやアップル、マイクロソフトといった米国の大型ハイテク株に間接的に投資できます。
カラー戦略(コールの売り+プットの買い)をかんたんに言うと
QRMIは毎月、次の2つのオプション取引を組み合わせています(Global X公式の説明)。
- コールオプションを売る:ナスダック100指数の「アット・ザ・マネー」(今の指数の水準とほぼ同じ行使価格)のコールを売り、プレミアム(オプションの代金)を受け取ります。これはQYLDと同じ考え方です。
- プットオプションを買う:今の水準より5%低い行使価格のプット(決めた価格で売れる権利)を買います。指数が5%を超えて下がった分は、このプットで損失をおさえる仕組みです。
この「上も下も幅を決める」組み合わせをカラー(襟)戦略と呼びます。コールの売りで受け取るプレミアムが、プットを買う代金を上回るように組む(ネット・クレジット)設計で、その差額が分配金の主な原資になります。「値上がり益を手放し、受け取ったプレミアムの一部で下落の保険を買う」と考えるとわかりやすいと思います。
保険(プット)の代金を払う分、同じコールの売りだけを行うQYLDより分配金は少なめになります。その代わり、Global Xが公表しているナスダック100に対するベータ(値動きの連動度)は0.28(2026年9月30日時点)と小さく、値動きはかなりおだやかです。
新NISAには使えるのか?
残念なことに、QRMIは新NISAの成長投資枠でも、つみたて投資枠でも投資できないと考えられます。
新NISAの成長投資枠には金融庁が定めた商品の基準があり、次のような商品は対象から外されています。QRMIは毎月分配を行い、運用の中心にコールオプションの売りを使っています。プットの買いは下落への備え(ヘッジ)ですが、コールの売りは収入を得るための取引で、ヘッジ目的とはいえません。そのため、対象外となる条件に当てはまります。
- 毎月分配型の商品
- ヘッジ目的以外でデリバティブ取引を使う商品(カバードコール型のETFなど)
対象かどうかは各証券会社のサイトに表示されるので、購入前に、お使いの証券会社の「成長投資枠の対象銘柄」で確認してください。
日本の証券会社で買える?
私は楽天証券でQRMIを保有しています(2026年10月時点)。ほかの証券会社での取り扱いや、新規に買い付けできるかどうかは各社の取扱銘柄一覧で公表されていますが、今回は確認しきれていません。購入前にお使いの証券会社で確認をしてください。
では、一般枠(特定口座)でも買いなのか?
キャピタルゲイン(値上がり益)の恩恵を受けたい、つまり資産を大きく増やしたいという方には向いていないと私は思います。QRMIは上昇をコールの売りで手放しているうえ、毎月分配金が入り、そのすべてに税金(米国で10%、日本で20.315%)がかかってきてしまうからです。ナスダック100の成長をそのまま取りたいならQQQが候補になります。
なお、米国で差し引かれた10%は、確定申告で「外国税額控除」を受けると一部を取り戻せます。特定口座で持つなら覚えておきたい制度です。
一方で、「毎月の分配金は欲しいけれど、QYLDのように下落時にしっかり下がるのは怖い」という方には、検討する価値のある選択肢だと私は思います。ただし純資産が小さいETFなので、売買のしやすさ(出来高や売値と買値の差)には注意が必要です。

QRMIは楽天証券で8株保有しています(2026年10月時点)。
では、その他参考になる情報をここから書いていきたいと思います。
QRMIの詳細情報(2026年10月時点)
QRMIの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 銘柄コード | QRMI |
| 運用会社 | Global X Management Company LLC |
| 設定日 | 2021年8月25日 |
| 連動する指数 | Nasdaq-100 Monthly Net Credit Collar 95-100指数 |
| 株価 | 15.00ドル(2026年10月29日、市場価格) |
| 52週の値幅 | 14.85〜16.25ドル |
| 純資産 | 約1,498万ドル |
| 保有銘柄数 | 105銘柄 |
| 経費率 | 0.60% |
| 分配頻度 | 毎月 |
※株価・純資産・保有銘柄数は2026年10月29日時点(Global X公式)、52週の値幅はstockanalysis.com。
QRMIの配当利回り・権利落ち日
QRMIの直近12か月の分配金は合計約1.87ドルで、株価15.00ドルで割った配当利回りは約12.5%です(2026年10月時点、stockanalysis.com)。Global Xが公表している分配率(直近の分配金を12倍して基準価額で割った値)は11.78%です(2026年10月29日時点)。分配金は1株あたり月0.15〜0.16ドル前後で、直近1年の分配金は前年より約6%減りました。権利落ち日は毎月20日前後(下旬の月曜日が多い)です。
| 権利落ち日 | 支払日 | 1株あたりの分配金 |
|---|---|---|
| 2026年10月19日 | 2026年10月22日 | 0.1499ドル |
| 2026年9月21日 | 2026年9月24日 | 0.1542ドル |
| 2026年8月24日 | 2026年8月27日 | 0.1538ドル |
| 2026年7月20日 | 2026年7月23日 | 0.1498ドル |
| 2026年6月22日 | 2026年6月25日 | 0.1603ドル |
| 2026年5月18日 | 2026年5月21日 | 0.1536ドル |
| 2026年4月20日 | 2026年4月23日 | 0.1560ドル |
| 2026年3月23日 | 2026年3月26日 | 0.1517ドル |
| 2026年2月23日 | 2026年2月26日 | 0.1581ドル |
| 2026年1月20日 | 2026年1月23日 | 0.1617ドル |
| 2025年12月22日 | 2025年12月30日 | 0.1622ドル |
| 2025年11月24日 | 2025年12月2日 | 0.1595ドル |
※権利落ち日はGlobal X公式、金額(小数点以下4桁)と支払日はstockanalysis.com。米国株は権利落ち日の前営業日までに保有している必要があります。
なお、Global Xは、QRMIの分配金には「元本の払い戻し(リターン・オブ・キャピタル)」が含まれる場合があると説明しています。利回りが高く見えても、その一部は自分が出したお金が戻ってきているだけ、という可能性がある点は覚えておきましょう。
QRMIの経費率
QRMIの経費率は0.60%で、QYLDと同じです。ナスダック100にそのまま連動するQQQ(0.18%)や、JEPQ(0.35%)と比べると高めです。
投資対象とポートフォリオ
QRMIが投資する主な銘柄
QRMIはナスダック100指数の構成銘柄を保有しているため、中身はほぼナスダック100そのものです。上位10銘柄だけで約47%を占めています。
| 順位 | 銘柄 | 比率 |
|---|---|---|
| 1 | エヌビディア(NVDA) | 8.16% |
| 2 | アップル(AAPL) | 8.08% |
| 3 | マイクロソフト(MSFT) | 6.25% |
| 4 | マイクロン・テクノロジー(MU) | 4.60% |
| 5 | アマゾン・ドット・コム(AMZN) | 4.17% |
| 6 | アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD) | 4.05% |
| 7 | テスラ(TSLA) | 3.35% |
| 8 | メタ・プラットフォームズ(META) | 2.94% |
| 9 | スペースX(SPCX) | 2.70% |
| 10 | アルファベット クラスA(GOOGL) | 2.64% |
※2026年10月29日時点(Global X公式)。上位10銘柄の合計は約47%です。
オプション取引の活用
QRMIは上記の株式に加えて、ナスダック100指数のコールを毎月売り、プットを毎月買っています。株の配当による収入はわずかで、Global Xが公表している30日SEC利回り(経費を差し引いた配当・利息収入の目安)は0.00%(2026年10月29日時点)です。分配金のほとんどはオプションの差額収入に頼っているということです。
QRMIのメリット3選
- 毎月、高い分配金がもらえる:直近12か月の利回りは約12.5%。オプションのプレミアム収入を原資に、一般的な高配当ETFを大きく上回る分配金を毎月出しています。
- 大きな下落に備えがある:5%下の行使価格のプットを毎月買っているため、ナスダック100が短期間で大きく下がった時の損失をおさえる設計です。ナスダック100に対するベータは0.28(2026年9月30日時点、Global X公式)と、値動きはかなり小さめです。
- 分配金の額が比較的安定している:直近1年の分配金は1株あたり0.15〜0.16ドル前後と、月ごとのブレが小さめです。毎月の収入の見通しが立てやすいETFです。
QRMIのデメリット3選
- 株価の上昇による恩恵がほぼない:アット・ザ・マネーのコールを売っているため、ナスダック100が上がっても値上がり益はほとんど受け取れません。下落の保険はあっても、下限の5%までは損失を受けるので、長い目で見ると株価は伸びにくい設計です。Global X公式の基準価額ベースのリターン(分配金込み)は直近1年で8.34%、設定来で1.99%でした(2026年9月30日時点)。
- 純資産が小さい:純資産は約1,498万ドル(2026年10月29日時点)と小さく、出来高が少ないと売買したい価格で取引しにくいことがあります。一般に、規模が小さいETFは運用会社の判断で上場廃止(繰上償還)になる可能性もあります。
- 税金面で不利・為替リスク:新NISAが使えないと考えられ、分配のたびに米国10%・国内20.315%の税金がかかります。米ドル建てのため、円高が進むと円に換算した分配金や資産額が減る可能性もあります。
QRMIと似たETFとの違い
同じナスダック100に投資するETFでも、オプションの使い方によって分配金と値動きのバランスが大きく変わります。当ブログで解説している主なETFと比べると、次のとおりです。
※配当利回りは直近12か月の分配金ベース、2026年10月29〜30日時点(stockanalysis.com)。
2026年10月時点の利回りは、QRMI・QYLD・JEPQがいずれも11〜13%前後で大きな差はありません。違いは値動きで、「下落への備え」を重視するならQRMI、「規模と売買のしやすさ」を重視するならQYLD、「分配金と値上がり益のバランス」を重視するならJEPQが候補になると私は考えています。
QRMIはどんな人に向いている?
向いている人
- 値上がり益より、毎月の現金収入(インカム)を優先したい人
- カバードコール型のETFに興味はあるが、大きな下落がこわい人
- NISA枠は別の商品で使っていて、特定口座で高配当を狙いたい人
向いていない人
- 20〜30年かけて資産を最大限増やしたい人(その場合はQQQなどの方が合うかもしれません)
- 新NISAの非課税メリットを最大限に活かしたい人
- まとまった金額を売買するので、規模が大きく取引しやすいETFを選びたい人
まとめ
QRMIを分配金で毎月1株買うには何株必要?
QRMIの株価は約15.00ドル、毎月の分配金は平均で約0.156ドルです(直近12か月合計1.87ドル÷12)。米国10%・国内20.315%の税金を引くと、1株あたりの手取りは月に約0.112ドルになります。
15.00ドル ÷ 0.112ドル = 約134.2株。つまり、約135株あれば毎月の分配金で1株ずつ買い増せる計算です(外国税額控除は考慮していません)。
月1万円の分配金を得るには何株必要?
1ドル=150円で計算すると、月1万円は約66.7ドルです。手取り0.112ドル/株で割ると約597株、金額にして約9,000ドル(約134万円)が目安になります。為替や分配金の変動で必要な株数は変わるので、あくまで目安として考えてください。
最後に
米国のETF「QRMI」の特徴や投資のメリット・デメリット、新NISAでの扱い、似たETFとの違いなどを2026年10月時点の最新データで解説しました。
このETFは値上がり益をほぼあきらめる代わりに、毎月の高い分配金と、大きな下落への備えを両立しようとするETFです。インカム志向で、値動きのおだやかさも重視したい投資家にとっては、一つの選択肢になりそうです。
何よりも働かずに毎月お金が入ってくる仕組みを、なるべく値動きをおさえながら作りたい人にとっては、良い選択肢の一つになるのではないかと思います。
※本記事のデータは2026年10月29〜30日時点のものです(出典:Global X公式サイト、stockanalysis.comほか)。新NISAでの取り扱いは各証券会社でご確認ください。投資の判断はご自身の責任で行ってください。
