FEPIとは何か?
FEPI(REX FANG & Innovation Equity Premium Income ETF)は、2023年10月9日に設定されたETFで、REX Shares社が運用する革新的な上場投資信託です。FEPIは、FANG & Innovation Indexを構成する米国大手テクノロジー企業15社に投資し、これらの高ボラティリティを安定した収入源に変換することを目指しています。このETFの最大の特徴は、GAFAMを中心とした巨大テック企業への投資とカバードコール戦略を組み合わせることで、現在25.20%という高い分配利回りを実現している点です。
FEPIが提供する投資機会とは?
FEPIは、Solactive FANG Innovation Indexに連動し、Apple、Amazon、Meta Platforms、Alphabet、Microsoft、Netflix、NVIDIA、Teslaの8つのコア企業と、テクノロジーセクターの上位7銘柄、合計15銘柄に均等加重で投資します。この投資戦略により、投資家は巨大テック企業の成長機会に参加でき、毎月安定した分配金を受け取れ、個別銘柄リスクを分散でき、高いボラティリティを収入に変換できます。
新NISAには使えるのか?
残念ながら、FEPIは新NISAの対象外となっています。主な理由は、米国市場上場のETFであること、毎月分配型であること、デリバティブ(オプション)を活用した複雑な運用戦略、金融庁の定める基準を満たしていないことです。しかし、特定口座での投資は可能であり、高配当と成長株投資を両立させたい投資家にとっては検討に値する商品です。
FEPIの詳細情報
FEPIの基本情報
- 銘柄コード:FEPI
- 運用会社:REX Shares(REX Advisers, LLC)
- 設定日:2023年10月9日(他の2つより運用期間が長い)
- 上場取引所:NASDAQ
- 純資産総額:約4億7,802万ドル(2025年6月時点)
- ベンチマーク:Solactive FANG Innovation Index
- 構成銘柄数:15銘柄(均等加重)
主要構成銘柄(均等加重約6.67%ずつ)
FEPIの主要構成銘柄は、Advanced Micro Devices、Netflix Inc.、Micron Technology Inc.、Amazon.com Inc.などを含む15銘柄で構成されています。
| カテゴリー | 企業名 |
|---|---|
| コア8銘柄 | Apple (AAPL)、Amazon (AMZN)、Meta Platforms (META)、Alphabet (GOOGL)、Microsoft (MSFT)、Netflix (NFLX)、NVIDIA (NVDA)、Tesla (TSLA) |
| 追加7銘柄 | テクノロジーセクターの時価総額上位企業から選定 |
FEPIの配当利回り・権利確定日
FEPIの分配金情報は以下の通りです。
| 項目 | 数値・内容 |
|---|---|
| 分配利回り | 25.20%(2025年6月24日時点) |
| 30日SEC利回り | -0.30% |
| 分配頻度 | 毎月 |
| 分配金の性質 | 100% ROC(元本払戻金) |
現在の分配金は100%推定元本払戻金(ROC)となっており、これは投資家が特に注意すべきポイントで、高い分配金が必ずしも投資収益から生まれているわけではないことを示しています。
FEPIの経費率
FEPIの経費率は0.65%で、アクティブ運用型ETFとしては標準的な水準です。同じREX Sharesが運用するAIPIと同じ経費率となっています。
パフォーマンス実績
FEPIは過去1年間で19.76%のトータルリターン(分配金込み)を記録し、設定来の平均年率リターンは21.83%となっています。これは、高い分配金を出しながらも、株価自体もある程度のパフォーマンスを維持していることを示しています。
FEPIのメリットとデメリット
メリット
- 安定した高配当 – 25%超の年率分配利回り、毎月分配による予測可能なキャッシュフロー、退職後の収入源として活用可能
- 巨大テック企業への分散投資 – FANG株を中心とした15銘柄への均等投資、個別銘柄の急落リスクを軽減、テクノロジーセクター全体の成長を享受
- 均等加重の利点 – 特定銘柄への過度な集中を避ける、小型成長株の上昇も均等に享受、定期的なリバランスによる規律ある運用
- 流動性の高さ – NASDAQ上場で取引が活発、純資産総額が大きく安定した運用
- 実績のある運用期間 – 2023年10月設定で1年以上の運用実績、様々な市場環境での運用経験
デメリット
- 上昇相場での機会損失 – カバードコール戦略により上値が制限、強気相場では通常のテック株ETFに劣後
- セクター集中リスク – テクノロジーセクターに100%集中、セクター全体の調整時には大きな影響
- 元本毀損の可能性 – 分配金がROC(元本払戻金)主体、長期的にNAVが減少する可能性
- 為替リスク – 米ドル建て投資のため円高時に損失、分配金も米ドルで受け取り
- 税制上の不利 – 新NISA非対象で税制優遇なし、分配金に約20%の課税
FANG株投資の現状と展望
2025年のテクノロジーセクター
テクノロジーセクターは2025年も以下の要因により成長が期待されています。
- AI革命の本格化 – 生成AIの実用化と収益化、エンタープライズAIの普及、AIインフラ投資の継続
- クラウドコンピューティングの拡大 – ハイブリッドクラウドの普及、エッジコンピューティングの成長、サブスクリプションモデルの浸透
- デジタルトランスフォーメーション – 企業のDX投資継続、自動化・効率化ニーズの高まり、サイバーセキュリティ需要の増加
FEPIの投資戦略
FEPIは、これらの成長トレンドを捉えながら、アウト・オブ・ザ・マネー・コール売り(株価から少し離れた権利行使価格でコール売り)、月次リバランス(インデックスは月次でリバランス、四半期ごとに構成銘柄見直し)、柔軟なオプション戦略(市場環境に応じてストライク価格を調整)などの戦略で運用されています。
投資家タイプ別の活用方法
インカム重視の投資家
ポートフォリオの20-30%程度に配分し、他の高配当商品と組み合わせて分散、分配金再投資で複利効果を狙う戦略が有効です。
成長と配当のバランス型投資家
コア資産は通常のインデックスETFとし、サテライトとしてFEPIを10-15%配分、分配金は生活費の補填に活用する方法が考えられます。
アクティブトレーダー
ボラティリティ上昇時に短期投資、テック株調整後の反発狙い、分配金を得ながら値上がり益も狙う戦略が可能です。
リスク管理と注意点
モニタリングすべき指標
NAVの推移(元本が減少していないか定期的にチェック)、分配金の内訳(ROCの比率を確認)、構成銘柄の変更(四半期ごとの見直しを確認)、ボラティリティ水準(VIX指数などで市場環境を把握)などを継続的に監視することが重要です。
投資上の注意点
過度な集中は避ける(全資産をFEPIに投資しない)、長期保有のリスク(元本毀損の可能性を理解)、税金の考慮(分配金への課税を計算に入れる)、為替動向の把握(ドル円相場の影響を理解)などに注意が必要です。
まとめ
FEPIの投資判断ポイント
FEPIが適している投資家:毎月の安定収入を求める投資家、FANG株に投資したいがリスクを抑えたい投資家、高配当と成長株投資を両立させたい投資家、ある程度の投資経験がある投資家
FEPIを避けるべき投資家:長期的な資産成長を最優先する投資家、税制優遇を重視する投資家(新NISA活用希望者)、テクノロジーセクターの変動に耐えられない投資家、投資初心者で仕組みを理解していない投資家
最終的な評価
FEPIは、世界最強のテクノロジー企業群であるFANG株に投資しながら、25%を超える高配当を実現する画期的なETFです。カバードコール戦略により、テック株特有の高いボラティリティを安定した収入源に変換するという発想は、多くのインカム投資家にとって魅力的でしょう。
ただし、その高い分配金の源泉が主にオプションプレミアムと元本払戻金であることを理解し、上昇相場での機会損失を受け入れる必要があります。FEPIは万能の投資商品ではなく、特定のニーズを持つ投資家向けの専門的なツールと考えるべきです。
最後に
2025年以降もAI革命やデジタルトランスフォーメーションによりテクノロジー企業の成長は続くと予想されますが、その恩恵を最大限に享受したい場合は、通常のテック株ETFの方が適しているかもしれません。一方、安定した月次収入を優先する投資家にとって、FEPIは検討に値する選択肢となるでしょう。
投資判断を下す前に、自身の投資目標、リスク許容度、投資期間を明確にし、FEPIがそれらに合致するかを慎重に検討することが重要です。必要に応じて、ファイナンシャルアドバイザーに相談することもお勧めします。


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